実はコンピュータユニオンにもたまには労働相談があるんですよ。さほど多くは無いんですが、11 月の初旬にも電話での相談がありました。
正社員で働いている方からの相談で、59歳から 60歳になるタイミングで給与が元の 4割にまで下がるという相談でした。もともと役職にはついておらず役職の変化もなく、作業内容も変わらないのに 4割に引き下げられると言うのです。定年後再雇用かなと思いながら話を聞いていましたが、よくよく聞くと、定年後再雇用でもありませんでした。
どうやら大きな会社に勤めているようで、グループ企業の中に派遣会社があるそうです。そして、60歳になるタイミングで元の会社を辞めて派遣会社に転籍をし、元の会社の元の部署に派遣で仕事につくという話でした。派遣においては、離職後 1年以内の人を元の勤務先に派遣をすることが禁止されています。しかし 60歳以上の人はその限りではなく、許されています。また、別の会社への転職なので、新しい会社での給与額が現在の給与額と比較して少なくなっても、過度に引き下げられたと違法性を問うことも難しいと考えられます。実態はともかく、派遣では事前に誰かを特定して受け入れることは禁じられているので、それを問題点として指摘することも可能ですが、その場合は元の仕事を継続すること自体ができなくなる危険性があるので、得策ではありません。
ちょうど 10月末に名古屋の地裁で、「再雇用の基本給が 6割を下回るのは不合理」という判決が出たところだったので、転籍とはいえ形を変えた再雇用ではないかと主張して、この判例を盾にして交渉することはできるかもしれないと伝えて対応を終えました。
■ コンピュータ・ユニオン ソフトウェアセクション機関紙 ACCSESS 2021年1月 No.399 より