― 怒りのコントロール ―
MIC(日本マスコミ文化情報労組会議) 女性連絡会と新聞労連東京地連主催の「アンガーマネジメント学習会」が4月9日18:30からオンラインで開催されました。参加者は70人程でした。学習会は新聞労連東京地連の寺田正委員長の司会で始まりました。講師はアンガーマネジメントファシリテーターの田部知江子弁護士(東京弁護士会所属)でした。ハンセン病問題や原爆症認定等の支援活動もされているとのことでした。
さて、本題です。アンガー(怒り)とは、人間にとって自然な感情の一つで、その役割は身を守るための防衛感情とのこと。でも、怒りは度を超すと問題が生じます。些細なことで激高したり、いつまでも根に持ったり、しょっちゅうイラついたり、他人や自分を傷つけたり、物を壊したりします。
では、怒りのもとは何でしょう。それは、理想と現実のギャップであるとの事。「べき」、「はず」、「普通は」、「当たり前」という思いが、相手に対する怒りにつながるそうです。これには、お互いの違いを理解したうえで集団としての優先順位とルールを決めることが大切と説明されました。
例えば、シェアハウスで暮らす場合のルールづくりですが、その集団の全員が、それぞれ、これだけは守って欲しいという項目を列挙し、各人が全項目に優先順位をつけ、その優先順位を項目ごとに全員分合計する。その合計の小さいもの順に集団としての優先度が高いとみなし、実践するというやり方です。学習会ではグループに分かれ、ワークショップ形式でやってみました。項目としては、役割分担を決める。使ったものは元の位置に戻す、トイレ使用後は、きれいにしておく。冷蔵庫の品物は勝手に使わないなどだ出されました。このルール作りは、すぐに実践できそうなので、同居人がいる方は参考にされてはいかがでしょうか。
続いて怒りが生まれる背景には、つらい、苦しい、疲れた、不安、焦りなどがあり、これらが引き金となって爆発します。
では怒りをどう制御したらよいのでしょうか。まずは衝動を制御する6秒ルールです。心の中で、「冷静に、冷静に、……」を6秒間言い続けるのも一法だそうです。二つ目が思考の制御で、「許せる範囲」、「まあ許せる範囲」、「許せない範囲」を自分なりに決めておくことが大切だそうですが、曖昧になりがちな「まあ許せる範囲」が、その時の気分によって変動するのはよくないとのことでした。(怒りをぶつけられた人が、ぶつけた人を信頼しなくなるため。)3つ目が行動の制御で、怒りの対象が変えられるものなのかどうかで自らの行動を「即行動」、「折を見て行動」、「受容する」、「ほおっておく」という基準を持つべきとのことでした。
最後に、叱ることについて解説がありました。叱るとは叱られる人に対する要望であり、叱る人の気持ちであること。また、叱る技術は練習で上達するそうです。機嫌の良し悪しに左右されない基準を作ること、人格・性格・能力攻撃はNG。事実・結果・行動・行為・ふるまいはOK。人前で叱るのはNG。感情をぶつけるのはNG。叱るときのNGワードは、「以前から言っているけど」、「どうして?・なぜ?」、強い口調で「いつも・絶対・必ず」、「ちゃんと・しっかり・きっちり」。上手な叱り方は、基準が明確なこと。要望が具体的であること。穏当な表現・態度・言葉使いで相手を責めないことだそうです。
すべての人が自分の感情に責任が持てれば怒りの連鎖を断ち切ることができると結論付けていました。
今回の学習会で感じたことですが、上下関係であれ、家族関係であれ、人間関係ではお互いを尊重することが何よりも大切なのではないかという事でした。
■ コンピュータ・ユニオン ソフトウェアセクション機関紙 ACCSESS 2021年5月 No.403 より