生け花を始めてン十年になる。
伯母が華道師範(生け花の先生)をしていた関係で、半強制的に習い始めたものだった
(いわゆる「花嫁修行」ってやつね、う~ん「昭和」の死語だわ)
ので、最初の1,2年は基本の型を覚えるため先生が入れた花を真似して入れ直すというお稽古が、あまり楽しくなくてちょこちょこサボっていた。
だんだん自分で最初から活けられるようになって、師範の資格を取ったり、コンクールに出たり、花展(生け花の展覧会のこと)に作品が出せるようになるとやる気スイッチが入って、別の流派の花展を見に行ったり、写真集や花の本を購入して研究したり、花屋に面白い花を探しに行ったり積極的に行動していたと思う。
決められた花材で自分の作品をどう作り上げるか、次の花展では何を表現しようか、そんな時間がとても楽しかった。
しかし、気が付けば生け花を新しく習う人はほとんどなく、お弟子さん達の高齢化も進み、現在の生け花人口は減少するばかりである。
私の所属する会も、かつては百人近くいた会員が今では十数名まで減ってしまっている。
この状況を改善するためには生け花の継承者を育てることが必要と考え、今わが会では子供達に花を触って花と遊ぶ教室を企画している。
花とかかわる時間を作る事で花を活けることを身近に感じてもらえるようになればというものだ。
花展も「自己表現」の発表会だけでなく「生け花の宣伝活動」の場という意味が強くなってきている気がする。
最近は、他所の花展を見に行くと、作品の見せ方とか会場の設営内容とか、来場者が何に惹かれているのかなんてすごく気になっちゃうようになった。
のほほんと自分の花のことだけを考えていれば良い時代ではなくなったんだなあ。
■ コンピュータ・ユニオン ソフトウェアセクション機関紙 ACCSESS 2023年7月 No.429 より