Docker で WordPress

労供事業の紹介をしているコンピュータ・ユニオンのサイト https://computer-union.jp は WordPress で作っています。このサイトの運用のために、技術面で試してみたいことがたまにあるのですが、PC 上の環境構築は面倒です。また、レンタルサーバは費用がかかるし、テスト中のものをインターネット上に晒したくないです。

そのテスト環境を簡単に作ったり消したりできないものかと探していたら Docker のオフィシャルの WordPress のイメージがありました。

Docker と仮想マシンの違いの説明は難しいですが、

  • 出来合いのイメージがたくさんある
  • イメージの管理が自動化できる
  • メモリが節約できる

といったところが Docker の利点です。こちらが私の環境の設定です。
https://github.com/MichinobuMaeda/docker-computer-union-wp

元のイメージを 1 点だけカスタマイズしています。本番環境からインポートするデータのサイズが大きいので、アップロードできるファイルのサイズの

これを動かすには Windows でも Mac でも Docker Desktop だけがあればいいです。Apache も PHP も MySQLも入れなくていいです。ただし Celeron 等の CPU で仮想環境をサポートされていない場合はDocker をインストールできないかもしれません。

私の環境の起動と、本番データを反映する手順の詳細は README をご参照ください。起動後にブラウザで http://localhost:8080/ を開くと WordPress のインストーラが表示されます。必要な事項を設定して、本番のデータをインポートして、インポートでは対応できない追加の設定をすると、本番とそっくりのものができます。

WordPress のソースと DB のデータファイルは Docker の中ではなく、PC 上に保存するようにしました。これで作業の途中経過を取っておくことができます。

WordPress ではなく素の PHP のイメージを使えば PHPの開発環境になります。PHP も MySQL も古いバージョンのイメージがあるので、PC 上に複数の案件の環境を、お互い邪魔にならないように置いておくことができます。

■ コンピュータ・ユニオン ソフトウェアセクション機関紙 ACCSESS 2022年6月 No.416 より

いまさらデザインパターン

内製フレームワークの基盤・業務共通クラスの開発に携わって実際に使用したデザインパターンの中からいくつかご紹介。(いまさらデザインパターン?)

Visitorパターン

製品製造のための原材料の必要量とコストを計算するクラスで使用。

原材料にはいわゆる部品、電気等の他に自社製品があり、階層が多段階で、それぞれ必要量、コストの計算方法が異なるため、それらをElementとして必要量を求めるVisitor、コストを求めるVisitorで構成。新たな種類の原材料が追加になったことが数回あり、Visitorパターンにしておいた甲斐がありました。

Strategyパターン

コードマスタには「RDBに持ちコード+発効日をKeyとして履歴管理」「RDBに持ち履歴管理しない」「XMLに持つ」等いくつかの種類があり、それぞれのアクセスをStrategyとして、アプリケーションからは種類を意識せず同一のメソッドでコードを取得可能とするクラスを作成。

後にリビジョンNoで履歴管理したい等、新たな要求がいくつかあり、Strategyにしておいた甲斐がありました。

Template Methodパターン

画面からのリクエストを元に帳票を作成し、リクエスト先に配信するというオンデマンドな帳票の作成処理は、リクエストを取り出す、リクエストを元にSQLを発行し対象レコードを取得する、帳票作成ツールに作製を依頼する、出来た帳票を配信する等ほぼ同一処理のため、Templateクラスを作成して提供。

アプリケーションは編集処理とデータ抽出用SQLのみ実装すればOKとしました。

他にも、赤黒管理を必要とするものには、入出金、売掛買掛等の金額、受注発注、在庫管理等の数量、と対象は様々だけれど、「新規:黒レコードを作成」「変更:直近黒レコードに対する赤レコードを作成+新たな黒レコードを作成」「取消:直近黒レコードに対する赤レコードを作成」と、流れは同じなので、Templateクラスを作成し、それを継承して各赤黒管理クラスを作成。

アプリケーションは赤黒レコードを意識せず、新規、変更、取消のメソッドを呼ぶだけでOKとしました。

■ コンピュータ・ユニオン ソフトウェアセクション機関紙 ACCSESS 2022年5月 No.415 より

SQLの性能問題の解決

SQLの性能問題は、どこでも発生しやすいものです。

SQLを改修したら、SQLが遅くなったというクレームがあり、通常数時間で終わるバッチ処理が、1日たっても終わらないといったことがかつてありました。

SQLの性能問題が発生した場合は、データベースのパフォーマンス統計やSQL文の実行計画、ER図を見せてもらったり、状況についてヒアリングを行うのですが、よくあるパターンはだいだい決まっています。

なお、以下のパターンは一例です。

(1) レコードによる問題

①そもそもレコード件数が非常に大きい

過去のデータを削除せず、10億件もある巨大なテーブルになっていることが多々あります。

②開発環境で処理時間を計測した場合のレコード数が圧倒的に少ない

本番環境のレコード数では想定以上の時間がかかってしまう。

③特定の列のデータに極端な偏りがある

WHERE句の条件で指定する列のデータに極端な偏りがある場合、探索量が非常に大きくなり、性能劣化となる場合があります。

(2) SQLによる問題

①テーブル間のリレーションが多対多になっている

distinct句やgroup by句を多用することで、性能劣化につながる場合があります。

②WHERE句の絞りこみの条件が不足している

不要なデータも検索してしまい、性能劣化となる場合があります。

③インラインビューを多数使用している。

ヒント句でSQL文の挙動を制御している場合、インラインビュー内ではヒント句が有効にならないため、想定した挙動にならないケースがあります。

④ビューを多用している

複雑な条件をもつビューを多用している場合、ビューを検索する度に、ビューを定義するSQL文が毎実行されるため、性能劣化となる場合があります。

(3) データベース環境による問題

①統計情報が正しくない

適切なデータへのアクセスが行われず性能劣化となる場合があります

②インデックスが不足している、またはインデックスが不適切

インデックスが使用されず、テーブルの全件検索となり、大幅な性能劣化となる場合があります。また、適当でないインデックスが使用された場合、インデックスの探索量が非常に大きくなり、性能劣化となる場合があります。

こういうときに限って、メモリ不足とかディスクの性能不足とかの問題が露呈するので油断ならないのですが、SQL文の改修をするか、テーブルやインデックスの見直し、統計情報の再取得などで、大抵の性能問題は解決します。

SQL文の修正はできないし、データベースの構造はいじりたくないので、インフラだけで解決してほしい、と言われることもあります。

その場合は、こちらでは対応はできないので、メモリのチューニングぐらいしかできないですね、と煙に巻くことにしています。SQLの性能問題が発生した場合の参考にどうぞ。

■ コンピュータ・ユニオン ソフトウェアセクション機関紙 ACCSESS 2022年4月 No.414 より

いまどきの挙動のアプリを作る

私はデザイナーではないし、凝ったユーザ・インターフェースを作りたいと思ったこともあまりなかったのですが、簡単にできるのならと少し試してみました。利用したフレームワークは先日学習会で紹介させていただいた Flutter で、Dart という Java や JavaScript に似たオブジェクト指向言語です。どちらも Google 製です。

結果としてあまり簡単ではなくて、コピペしたサンプル・プログラムの中の一部はよくわからないままです。とはいえ、たかだか数10行で とて も自分が作 った とは思え ない もの にな りま し た 。素のJavaScript で一から全部自分でプログラムを書いたら1,000行では済まないでしょう、というか、たぶん途中で嫌になってやめてます。動いているところはこちらの動画をご参照ください。
https://www.youtube.com/watch?v=Dd8ew1fyxN4

アニメーションがぬるぬると動くようなものは必要ないと思っていましたが、できてしまうとこれはこれでいいですね。スクロールでヘッダ部が非表示になると画面を広く使うことができるので使い勝手の向上になります。

あとはたぶんスマホの横幅に収まらなくなる詳細行を横スクロールできるようにすれば、いろんな用途のアプリにそのまま使えそう、ということでもう少しがんばってみたところ、それもサンプルのコピペでできました。

プログラミング能力よりむしろ、検索力が重要です。

Flutter のように最近使われるようになった言語は書籍が出ていなくて、英語の本が出る頃に1バージョン、それが日本語に訳される頃には 2バージョンくらい古くなってしまいます。英語が苦手でも、慣れれば気合いでサンプル・プログラムにたどり着くことができます。最近は日本語の掲示板もそこそこ充実してきました。

Flutter のユーザ ・インターフ ェース以外の部分についてはBLoC ( Business Logic Components ) という、ステータスとイベントを管理するフレームワークが素晴らしいです。 Java などのサーバ側と違う仕組みが必要ですし、 Visual Basic などで作っていた従来のアプリと違って非同期の処理が普通にあるのですが、きれいに整理できました。

■ コンピュータ・ユニオン ソフトウェアセクション機関紙 ACCSESS 2022年4月 No.414 より

電算労・電算労組 合同定期大会

2 月 26(土)、電算労・電算労組の合同定期大会がZoom を使った Web 会議で 行われました。冒頭、電算労議長の畠山さんは開会あいさつで「今日はいつものあいさつはしません。ひとつだけ言いたいことがあります。戦争のことです。けっして起こってはいけない、許せない事態が起きました。正直、怒りがこみ上げる。第二次世界大戦のあと、二度と戦争はしないと誓ったことを思い出してほしい。MIC からの声明を是非読んでください」と述べました。

続いて 2021 年度活動報告と 2022 年度方針提案がありました。

労働条件・労働環境

賃上げは各単組健闘したものの満足いく回答が得られたところは少数でした。SS は大幅賃下げとなりましたが、年齢を理由とした賃下げがあったこと、週3日勤務になった組合員がいたことで平均として下がったことが説明されました。全国全産業なみの賃金を目標にしている電算労全体としては他業界との格差は若干縮まったとの報告でした。残業やメンタルヘルス、定年延長など賃金以外の課題も多く、進捗は進んでなくもないといった印象です。

(方針)抜粋
◆全産業平均賃金への到達
◆企業間格差をなくして電算労水準への到達
◆サービス残業をなくして、36 協定の遵守
◆長時間残業による健康破壊防止のために時間外労働時間の上限規制とともに 12 時間以上の勤務間インターバル制度の実現
◆時間外割増率の引き上げ:普通残業 145% 深夜残業 175%

組織強化

労供事業の優位性を知ってもらうきっかけとしてもサイトの拡充、アンケートなどさまざまなツールを活用していく方針が示されました。

(方針)抜粋
◆組合員が元気づけられる学習会の開催
◆労働相談を積極的に行い、新しい組合結成の展望
◆労供労組協との連携による労供事業の拡大

◆協力組合を広げて調査活動の強化
◆「こんぴゅうた」の定期発行と内容の充実
◆UNION NET の活用による組合内外との交流
◆各組合・支部のサイトの拡充

業界の課題

多くの労働者派遣事業が特定派遣を取りやめたことが東京都の調査で明らかになっています。業務委託契約に切替えて実態派遣の偽装請負になったと思われ、引き続き注視していく必要があります。ちなみに労働者派遣事業適正運営協力員会議には来期から桑波田さんが出席するとのことです。

(方針)
◆構造的多重派遣の解消
◆労働者供給事業を普及し偽装請負の解消

社会の課題

ひきつづき労働法制改悪反対、平和、憲法改悪反対、脱原発の4本柱で社会責任を果たしていく方針が示されました。

(方針)
◆労働者をないがしろにする労働法制改悪反対
◆民主主義を守り、平和で豊かな情報社会の創造
◆平和憲法を守り、戦争のない国際平和の希求
◆再生可能エネルギーの普及による脱原発の実現
◆MIC や労供労組協との共同行動を促進して、関係省庁・業界団体への要請を必要に応じて行う

2022 年春闘方針案、2021 年度決算 2022 年度予算案が全会一致で採択され恙なく大会は終了しました。

企業内組合は対会社の、ソフトウェアセクション には個人加盟ならではの課題があります。電算労として集まる意義は、他支部・他組合、他業種の労働組合と繋がり、業界や社会課題に取り組むことにあるのだろうと思いました。

■ コンピュータ・ユニオン ソフトウェアセクション機関紙 ACCSESS 2022年4月 No.414 より

36協定で労組ができること

2022年2月17日(木)、労働法制中央連絡会が主催する「長時間労働をなくすために~36協定の基本と活用」という学習会に参加しました。講師は伊藤圭一さん。全労連で労働法制局長を務める労働問題の専門家です。

講座は、長時間労働を解消し生活時間と健康を守るために、36(さぶろく)協定を上手く活用することが有効であり、そのために基本から学ぼうという内容です。

【36協定は違法を免罰するもの】

労働基準法はこのように定めています。

第32条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。…
第35条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。…
第36条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、 … … その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。…

重要なことは、時間外・休日労働は違法なもので、36協定は違法を「免罰」する効果を持つということです。講師の伊藤さんは、本来、時間外勤務は違法だけれど使用者側の罰則を免れさせるために結ぶ、という後ろめたさを持って結んでほしいと話します。また、使用者側は36協定を締結しなければ残業をさせられない一方、労働者側に36協定を締結する義務はありません。

【36協定は交渉カード】

JMITUの泉田さんはコインパーキングの停止板などを作る工場で働いています。昔から36協定を残業30時間まで、休日出勤1日までで毎月結んでいて、春闘や一時金など交渉事のたびに戦術として使っているそうです。

【労働時間は労組がチェック】

泉田さんの会社では、「誰がどんな作業で何時間残業するか」を会社に書面で提出させ、受け取った時点で執行部が集まって、認めるかどうか協議して回答する仕組み。従業員の健康を守るために短い期間で確認することが大切と話します。36協定の範囲内であっても、月を連続して80時間を超えないこともポイントです。

【過労死・過労自死には労働者代表にも責任】

厚労省の指針は、「長時間労働の解消は労使の責務」としています。残業時間が長くなるほど脳・心臓疾患との関連性が高まり、時間外労働は最小限にとどめられるべき。その業務を細かく具体的に定めなくてはならず、「やむを得ない場合」など恒常的に長時間労働を招くおそれがある書き方は認められません。

【コロナ禍の医療現場で特別条項拡大か?】

36協定には「通常予見することのできない業務量の大幅な増加等がある場合に臨時的に」労働時間規制を免れる特別条項を結ぶことができます。病院の労働組合の佐藤さんは、コロナ禍で多忙を極める医療現場や保健所ではこれを利用していると言います。もともと労基法33条に災害時に規制を外せる条文があるのだから、コロナ対応を理由に特別条項を結ぶべきではない、と主張しています。コロナももはや3年目、労使協定で超過勤務させるより、人員の増加が一番必要ではないでしょうか。

【労組ができること】

泉田さんは残業代が必要という従業員とも「わかるけどやっぱり賃上げが本筋だよね」と対話していると言います。医療現場の佐藤さんは、「すでに過労による健康被害は増えている。さらにハラスメントなど職場環境も悪化。組合はすぐに動ける体制が必要だ」と話していました。

労働組合は組合員の生活と健康に責任があり、労基法と労働運動は両方ともセットで重要です。労働者代表は自覚をもって協定を結び、組合員もきちんと監視する姿勢が大切だと思いました。

■ コンピュータ・ユニオン ソフトウェアセクション機関紙 ACCSESS 2022年3月 No.413 より

スロトレで腰痛改善

IT技術者をはじめとして、デスクワークをしている人は腰痛持ちが多いのではないでしょうか。

私も同様ですし、最近は特にひどかったのでそのあたりの経過と現在の様子をお伝えして腰痛に苦しむ皆さんと情報共有ができたらと思いました。

2020年11月、自宅で掃除機をかけていた時、急に腰が痛くなり、2,3日我慢していましたが耐えられず、近所の整形外科に行きました。問診、赤外線治療の他、コルセットを出してもらいました。日々の運動も大切と思い、トレーニング用パンフももらってきて、毎日実践していました。

しかし、2021年の5月には、その体操のやり方がまずかったせいか、背骨の近くに痛みが走りました。腰に鈍痛もあったので、今度は行きつけの診療所で背中の痛み止めの注射を打ってもらいました。でも、それほど効果はありませんでした。腰の鈍痛向けにもらった2週間分の湿布薬もあっという間に使い切りましたが、腰の鈍痛は収まらないばかりか、洗面所で顔を洗う時には腰がゴキッと鳴って、痛みがひどくなってきました。

どうしたものかと思っていたところ、妻が「一生動ける体づくりスロトレ」という石井直方東大教授の記事(東京新聞折り込み情報紙「暮らすめいと2021年7月号」)を見つけてきてくれたので、早速実践してみました。(スロトレはスロートレーニングの略)
内容は腹筋、スクワット、腕立て伏せなど一般的な体操ですが、1クール5回から10回やればよいので、

れほど苦痛ではありません。腰痛対策では、「両足をそろえてひざを立て、仰向けになり、腕は胸の前で交差する。」その状態で、「息を吐きながら上体をゆっくり起こし、息を吸いながらゆっくりと状態を戻す。」と記しています。これを5回から10回繰り返すのです。やり始めの時期は夏という事もありジットリと汗ばんできました。これは効果があると確信し、毎日継続しています。(最近は汗ばむことはなくなりましたが。)

このところ、洗面台の前で腰をかがめてもゴキッとは鳴らなくなり、痛みもだいぶ和らぎました。もう少し継続したら完全に痛みもとれるだろうと期待しつつトレーニングを継続しています。

■ コンピュータ・ユニオン ソフトウェアセクション機関紙 ACCSESS 2022年2月 No.412 より

本の紹介:岩波新書・労働組合とは何か(木下武男)

まえがきには、
「~今の日本では、~労働組合というと何をしているのかわからない。~」
「~何かの反対運動をしているときと、春闘で大企業の賃上げが報道されるときぐらいだ。~」

あとがきには、
「~現実や運動からかけ離れた研究が旺盛になされている。~」
「~将来をみすえた議論は見られない。~」
「~なお最後に、労働組合論という今時あまり関心がもたれない本書を、あえて出版に踏み切られた~」

等とオモシロそーな言葉が並んでいます。

書名で検索すると岩波書店の紹介ページがあります。そこに内容説明、目次、著者略歴 があります。
キョーミを持たれた方はご参照を。

内容として…

産業革命、工業化、技術の変化にともなう組合の変容、

イギリスの歴史では、

最低賃金、失業保険、年金制度の実施、夏休みでも給食、

アメリカの歴史では、

旧移民、新移民、大量生産、ニューディール政策、スト破り、ピケットライン、警官の警棒、州兵の銃剣、~仕事、~休憩、~残りの八時間は、~すきなことのために、

イタリア、ドイツの歴史にも触れていて、日本の歴史では、

年功序列、定期昇給、政党と組合の関係、スト権スト、民営化、組合の成功例として生コン、拉致、発電送電の分離、電力、産業別組合が発展せず、企業別組合になっている経緯、下層ホワイトカラーは労働者と同じ、

…などが書かれている。

巻末に参考文献がある。(高そうな)マルクス=エンゲルス全集などに混じって、ドイツ在住の元NHN記者の書いた(読みやすそうな)他社の新書なども入っている。日本語訳のない文献もいくつか。(_;
索引の無いのは、ちょっと残念。

”ナショナルセンター”には、途中で説明がある。 ”第二組合”は、説明なしで出てくる。このあたりは新書なら仕方ないかと…。本書を手がかりにお勉強してみよーと思う。そーすれば、いつぞやの講演会で、質疑に対して寝ぼけた応答をしていたあのセンセーに挙手をして、裏づけのある質問をぶつけられる日が来るかもかしれない。

■ コンピュータ・ユニオン ソフトウェアセクション機関紙 ACCSESS 2021年12月 No.410 より

電子帳簿保存法が変わります

注)施行直前の2021年12月に国税局から2年間の猶予が公表されました。

電子帳簿保存法って知ってますか?

雇用労働者として就労している場合、基本的には関係ないので知らない人も多いのではないかと思います。電子帳簿保存法は、国税関係の帳簿や書類を電子データで保存することを認めた法律です。

元来、請求書や領収書などは紙で保存するのが原則です。それをPDFなどの電子データで保存することを認めたのがこの法律で、ペーパーレス社会の促進のため、2022年1月に大幅に緩和されることになったのです。

さて、紙の請求書や領収書ってかさばりますよね。これをPDFで保管して紙の領収書を破棄していいなら、場所も取らなくて便利ですよね。ただ、そうする場合は事前に税務署に申請をする必要がありました。そのため殆どの会社では紙で保存をしています。これが2022年1月からは事前の申請が不要になるので、誰でも導入できるようになりました。

しかしそこに大きな落とし穴があります。

データで受け取った書類は、データで保存しなければならなくなります。例えばアマゾンで買った文房具を経費として扱う時に、印刷して保管していてはダメです。いや、ダメというのは語弊がありますね。紙で保存することはかまいませんが、それはただの参考記録でしかなく、法律を遵守できていないことになります。正しくは、ハードディスクなどに電子データとして保存しなければなりません。

このとき、検索すればいつでも見られる状態にしておかなくてはなりません。国税庁が推奨しているやり方は2つあり、1つはエクセルで一覧表を作って管理する方法です。もう1つはファイル名に日付・取引先、金額をつけて保存するというやり方です。ですから、「メールで受信しているからメーラに保存されています!」というのはダメですし、「アマゾンの購入履歴から見れます!」というのもダメです。どちらも一覧を作っておく必要があります。

ただし、売上高が1千万以下の事業者は検索までは対応する必要はありませんので、大半の個人事業主の方はとにかくデータで保存というルールさえ守れば大丈夫です。

また、電子データが改ざんされていないことを保証する必要があり、次の3パターンから対応を選択する必要があります。

1.タイムスタンプをつける

タイムスタンプって、ファイルについてる時間のことではなく、ある時刻にその電子データが存在していたことと、それ以降改ざんされていないことを証明する技術です。導入には相応のコストがかかります。

2.訂正・削除を記録できるシステムを導入する

これはサブバージョンなどの世代管理ソフトを使えば対応可能そうです。

3.事務処理規定を作る

「改ざんしないという事務処理規定を遵守しているから、改ざんはしていません!」と言うことですが……。まぁ前述の対応は一般的には簡単に導入できないので、救済措置のための手段といえるでしょう。

あぁめんどくさい!電子取引なんてやめやめ!注文書も請求書も紙でやるわ!というペーパレスとは真逆の意見や問い合わせが多数あったようで、11月12日には、「電子データの一部を書面で保存していた場合でも、きちんと記帳して申告してた場合は、直ちに青色取消になったり、経費として認められないことになるわけではない」という旨の見解が出ました。
とはいえ多少不備がある程度は見逃してやるという意味だと思いますので、しっかりと対応を進めていく必要があります。

■ コンピュータ・ユニオン ソフトウェアセクション機関紙 ACCSESS 2021年12月 No.410 より

フリーランスに影響大のインボイス制度

皆さん、インボイス制度をご存知でしょうか?

主に関係するのは事業主です。そのため社会保険が適用されている雇用労働者の方は基本的には意識する必要はありませんので、よく知らない方が多いのではないでしょうか。

インボイス制度とは、正しくは適格請求書等保存方式と言います。
消費税に関わる制度で、取引における消費税の額を正確に把握し、不正やミスを防ぐことを目的にしています。現在の消費税は10%ですが、税率が8%になる軽減税率も混在しているため、取引内容や税率ごとの消費税額、適格請求書発行事業者の登録番号等、インボイスの記載内容を満たした請求書を発行・保存しましょうという制度です。

インボイス制度は2023年10月1日から始まります。それに先駆けて、2021年10月1日から登録申請書の受付が開始され、2023年の3月31日までに登録申請をしておく必要があります。申請すると、税務署から登録番号が通知されるので、請求書に登録番号を記載することで、適格請求書として扱うことができるようになります。

事業主は、受け取った消費税額から、自分が仕払った消費税額を差し引いた金額を税務署に納税します。これを仕入税額控除といいます。

しかし、適格請求書を発行できない事業者からの仕入れは、仕入税額控除を受けられなくなります。
適格請求書発行事業者にならないと、取引先に消費税の納税額分の負担を押し付けてしまうことになります。

図の例では、仲買人が的確請求書発行事業者では無い場合、魚屋が仕入れ税額控除を受けられないため、この仲買人ではなく、別の仲買人から魚を仕入れることにしてしまう恐れがあります。それを避けるために仲買人は適格請求書発行事業者の申請を行います。

ここで問題になってくるのがフリーランスや個人事業主として仕事をしている人です。
年間の売上が1000万円以下の事業者は消費税の納税義務がありません。このような小さな事業者に対しては消費税納税に関わる煩雑な負担を軽減する等の目的で消費税の納税が免除されています。
しかしインボイス制度の導入に伴って、適格請求書発行事業者になるには、消費税の課税事業者にならなければならず、その消費税納税に関わる煩雑な負担を負わなければならない上、これまで免除されていた消費税を納税する必要があります。これはフリーランスで働く人たちにとっては非常に大きな影響です。

また、新しく起業する場合も2年間は、同じように消費税が免除されていましたが、納税しなければ同様に適格請求書発行事業者になれず、起業後のスタートダッシュがこれまでよりも難しくなります。
ベンチャー企業等を起業するハードルが上がるため、新しいサービス等が生まれにくくなり、将来的に産業が先細っていく危険性もあるのではないでしょうか。

■ コンピュータ・ユニオン ソフトウェアセクション機関紙 ACCSESS 2021年10月 No.408 より